エアコンの背板・据付板の取り付け方を徹底解説

【この記事で分かること】
エアコンの背板・据付板の取り付け方が分からなくてお困りですか?エアコンの背板・据付板はエアコンの室内機を支える非常に重要なパーツで、取り付け方法を間違うと勾配不良で水漏れが発生したり、エアコンの故障に繋がります。

本記事ではエアコンの取り付け設置のプロが分かりやすくエアコンの背板・据付板の取り付け方を解説するだけでなく、エアコンの背板・据付板の寸法やエアコンの背板・据付板の水平を取る正しい水平器の使い方も紹介しておりますので是非ともご参考にしてください。

エアコンの背板・据付板とは?

エアコンの背板・据付板とはエアコンの室内機を壁に取付ける前に、「背板・据付板」と呼ばれる金属板を適切な位置に壁にビス留めを行いエアコンの室内機を取付けるために使われる部材です。

エアコンの背板・据付板の取付けはエアコンの室内機を壁に取付けてしっかりと固定させる際に、非常に重要な役割を担っております。

エアコンの背板・据付板の寸法

壁掛け型ルームエアコンの背板・据付板には寸法図がありますので事前に確認しましょう。

特に注意が必要なのが、背板・据付板にエアコンを設置した際に、背板・据付板からエアコンが上下左右何mmの位置に来るかを把握する必要性がありますので、必ずエアコンの背板・据付板の寸法図に目を通しておいてください。

エアコンの背板・据付板の取り付け位置の決め方

エアコンの背板・据付板の取り付け位置の正しい決め方について解説をしていきます。背板・据付板の取り付け位置は下記の5つのポイントをしっかりと抑えて決めれば問題なくエアコンを設置できますので一緒に確認していきましょう。

エアコンの室内機と壁・天井との間に十分なスペースを確保

エアコンの室内機と天井とのスペースは15cm程度開けるようにしましょう。エアコンの室内機と壁とのスペースを15cm開けることによって、エアコンの室内機の上部からスムーズに風を吸い込むことが可能になります。

また、エアコンの室内機と壁とのスペースは10cm以上程度開けるようにしましょう。エアコンの室内機と壁とのスペースは10cm以上確保しておかないと、エアコンクリーニングをすることができません。

なぜなら、多くのエアコンクリーニング業者はエアコンの本体カバーを取り外してからホッパーと言われる汚水の受け皿となる専用の道具をエアコンと壁の間に差し込まなければいけないので、エアコンの室内機と壁とのスペースは10cm以上必要になります。

エアコンのドレンパンの穴の位置より配管穴の位置を下にする。

室内機に溜まった結露をドレンホースをつたって室外機に排出させるためには、エアコンのドレンパンの穴の位置より配管穴の位置を下にしてください

これが、エアコンの配管穴の方が高い位置にあると、ドレンホースの経路が逆勾配になってしまいドレン水を室外に排出することができなくなってしまいます。ドレンホースの経路が逆勾配になるとエアコンの室内機の中にあるドレンパンにどんどんドレン水が溜まり最終的にはドレン水がオーバーフローしてしまい、エアコンから水漏れが発生してしまいます。

エアコンの水漏れが発生するとエアコンの室内機の右側にある電子基盤に水が付着して漏電や故障に繋がります。そのため、エアコンのドレンパンの穴の位置より配管穴の位置を下にすることは、エアコンを水漏れと故障を防いでくれますので、くれぐれも背板・据付板の取り付け位置には注意をしてください。

エアコンの電源プラグがコンセントまで届く位置にする。

エアコンの電源プラグがコンセントまで届く位置にエアコンの背板・据付板の取り付けるようにしましょう。万が一、エアコン専用のコンセントがない場合やエアコンの電源プラグがコンセントまで届かない場合には、エアコン専用のコンセントの増設工事を依頼しましょう。

エアコン専用のコンセントの増設工事の際にはご購入のエアコンの電圧に合ったコンセントにする必要になります。エアコンの電圧は単相100Vか三相200Vのどちらかですので、ご購入のエアコンの取扱説明書にエアコンの電圧の規格が記載されておりますので事前にご確認してくださいね。

最後に補足にはなりますが、エアコンの電源プラグがコンセントまで届かない場合に延長コードを使って代用する方がごく稀にいらっしゃいますが、こちらは独立行政法人製品評価技術基盤機構から発表されている通り延長コードはエアコンの電圧への耐性がありませんので、発火事故を招く危険性がありますので利用をしないようにご注意下さい。

水平器で水平取ってから、配管穴に向かって僅かに勾配をつけた位置にする。

エアコンの背板・据付板の上で水平器を置いて水平をしっかりと取ってから、配管穴に向かって角度2~3度の僅かな勾配をつけた位置にエアコンの背板・据付板を取り付けるにしましょう。

この角度2~3度の僅かな勾配でドレンパンのドレン水をドレンホースへとスムーズに流してくれますのでエアコンの内部がカビだらけになりにくくなります。エアコンの背板・据付板の水平を取る際には、尺の短い水平器を使うのではなく尺が長めの水平器を使った方が正確に水平を取ることができますのでオススメです。

配管穴に向かってエアコンの背板・据付板を逆勾配で設置してしまいますと、ドレン水が室外に排出されなくなり水漏れの原因になりますので、配管穴に向かってエアコンの背板・据付板を逆勾配で設置することは絶対NGです。

エアコンの風が火災報知機に当たらない位置にする。

室内で火災が発生した場合にエアコンの正面に火災報知器があると、火災で発生した煙を探知できなくなってしまいますので、必ずエアコンの風が直接火災報知機に当たらない位置にエアコンの背板・据付板を設置しましょう。理想としましてはエアコンから2.5m程の距離を保つようにして、火災報知器も問題なく動作確認を担保してください。

エアコンの背板・据付板の水平の取り方

エアコンの背板・据付板の水平を取るのは、エアコンの水漏れを予防するのに非常に重要です。それではエアコンの背板・据付板の水平を取る正しい水平器の使い方を解説していきます。

【正確に水平器で水平を取る方法】
・尺の短い水平器ではなく尺の長い水平器を必ず利用する。
・水平器はエアコンの背板・据付板の上部真ん中に置く。
・水平器の気泡がちょうど真ん中にきていることを確認する。
(水平器の気泡が右に寄っていたら右に向かって勾配、気泡が左に寄っていたら左に向かって勾配があるので、エアコンの背板・据付板を少しづつ水平にして気泡を中央ど真ん中に来るようにしてください。)

エアコンの背板・据付板の取り付け方

エアコンの背板・据付板の正しい取り付け位置が確認できたら、いよいよエアコンの背板・据付板を壁に取り付けていきましょう。エアコンの背板・据付板を壁に取り付ける方法は下記の手順でお願いします。

ボードアンカーを壁に6か所打ち込む。

エアコンの背板・据付板の正しい取り付け位置が確認できて、水平もしっかりととれたらボードアンカーを壁に最低6箇所打ち込みます。ネジを直接エアコンの背板・据付板に設置してしまうと、重量の重いエアコンをさせることができませんので、エアコンの背板・据付板と壁をより強く固定させる役割を持つボンドアンカーは必須です。

ボードアンカーを打ち込む箇所は最低6箇所で上に4箇所下に2箇所打ち込むようにしてください。下より上に多くボードアンカーを打つ本数が多いのは、背板・据付板の上部の方がエアコンの重量の負荷がかかるからです。また、2.2kw程度の6畳用のノーマルエアコンであれば6箇所で足りますが、6.5 kWの18畳用のエアコンであれば重量がエアコンの室内機でも9kg~10kg程度ありますのでボードアンカーを8箇所程度打ち込むように注意が必要です。

ボードアンカーを壁に打ち込む際にはインパクトドライバーを利用すると効率的に作業が進みますので非常にオススメです。インパクトドライバーでボードアンカーを打ち込む際にはボードアンカーの取り付け角度が斜めにならないように、壁に向かって垂直に打つようにしてください。

また、ボードアンカーを打つ順番ですが、まずは真ん中に一発打って、水平器で水平を確認してから2発目を右に、3発目を打つ際は2発目と左右対称になるように左に打つようにすれば綺麗に水平を保ちながらボードアンカーを打つことができます。

ボードアンカーの上にネジを入れて背板・据付板を固定する。

最後にボードアンカーの上にネジをインパクトドライバーで入れてエアコンの背板・据付板の取り付けが完了です。エアコンの背板・据付板が壁に設置された後は、最終確認で水平器で水平を確認するようにしましょう。

ボードアンカー不使用で背板・据付板の設置法

壁の内側の下地を探せればボードアンカーを使わないでもエアコンの背板・据付板を直接柱にビスで固定することができます。それではボードアンカーを使わないエアコンの背板・据付板の設置方法を解説していきます。

ボードアンカーは下地の柱がない場合に石膏ボードとエアコンの背板・据付板を強く固定するために使われますが、壁の内側の柱さえ見つけて直接ビス留めができれば、ボードアンカーなしで高い強度でエアコンの背板・据付板を固定することができます。それでは壁の内側にある柱の探し方について解説をしていきます。

壁から910mmの距離を計測

日本の木造建築で最も伝統的な工法である木造軸組工法は910mmピッチで柱があるので、壁から910mmの距離を計測して柱の位置を推測する。

下地探しで柱を確認してから直接ビス留め

下地探しで便利な下地探しセンサーを活用して壁の裏に間柱があることを確認しましょう。間柱があれば直接エアコンの背板・据付板をビス留めすることができます。

【危険】エアコンの背板・据付板が外れ大事故間際

エアコンの取り付け設置の仕事をしていると年に数回はお客様の自宅でエアコンの背板・据付板が外れてエアコンの室内機が落下しそうな現場を拝見致します。正直、非常に危険です!

もしエアコンの室内機が頭に落下して直撃したら最悪首の骨が折れてしまい脊髄損傷でもしたら、全身麻痺になってしまう可能性もあります。こちらの写真は先日、エアコンの取付設置の修理依頼があったお客様のエアコンです。写真を見てお分かりの通り背板が外れているではありませんか・・・実はこちらのエアコンしっかりとボードアンカーを6本打っていたにも関わらず、背板の上部が重みに耐えきれなかったのでしょう。

ちなみにこのエアコンで使われていたねじ込み式ボードアンカーは強度が非常に弱いのでエアコンのメーカーはこちらのボードアンカーの利用を推奨しておりません。こちらのボードアンカーでは石膏ボードと固定するグリップ力が足りないのです。

ねじ込み式ボードアンカーではなくカサ式ボードアンカーを利用すればこのようなエアコンの背板・据付板が外れることがないのを、こちらのエアコンを取り付けした業者さんはおそらく知らなかったのでしょうね。

特殊壁へのエアコンの背板・据付板の取り付け方法

特殊な壁の場合はどのようにエアコンの背板・据付板を取り付けるかを解説していきます。エアコンの取り付けには様々な現場がありますので、特殊壁でも対応できるようにしておきましょう。

土壁又は漆喰壁の場合

土壁又は漆喰壁の場合にはボードアンカーを打つことができませんので、その代わりに廻り縁と鴨居を利用してタテ桟という金属製の補強材を取り付けします。このタテ桟を設置することによってボードアンカーを打つのと同様の強度でエアコンの室内機を壁に固定することが可能になります。

コンクリート壁の場合

コンクリート壁の場合もインパクトドライバーでボードアンカーを取り付けることができませんので、電動式ドリルでアンカーボルトを壁に設置してからエアコンの室内機を壁に取り付けを行います。


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